コインランドリー事業について私の経験を元に裏情報を開示してきました。
しかし本当に恐ろしいのは出口戦略が悲惨な状況しかないという事です。
行くも地獄、帰るも地獄のコインランドリー道は正に修羅の道ですね。
私は開店1年も経たない内にそれまで全く考えていなかったコインランドリー事業の出口を探す途方も無い旅路に放り込まれました。
その時の経験談が少しでも、読者の方のお役に立てればと思いこの記事を書いています。
この記事では、事業初心者が見落としがちな撤退戦略の重要性を感じてもらえると思います。これはコインランドリー事業だけに限った話では無いので参考にされてください。
Contents
赤字続きで1年目からクライマックス突入!?
私がコインランドリー事業の撤退を迫られていたのが2017年9月頃となります。。
この時はコインランドリー事業単体での毎月の手出しが40〜50万円となっており、何故コインランドリー事業をやっているのか、自分でも意味が分からない状況となっていました。
それでも1年も経っておらず、夏の厳しい時期を乗り越えてやっとコインランドリー の売上が上がってくる冬を目前に控えていたので、
まだ資金もあるし、もう少し様子をみようと楽観視は出来ないものの、我慢の時だと思っていたのですが、
周囲からコインランドリー事業を手放してくれ!と言われてしまいます。
私も残債もキレイに精算して手離れ出来るものならば、そうしたかったのですが、コインランドリー事業の撤退というものを真面目に考えた時にあまりの選択肢の悲惨さに絶句してしまい、
出口の無い迷宮へと迷い込んでしまった事に後から気づくのでした。
迷宮の中で経営相談をしてみた
まず流石に撤退する判断をするには早すぎると思い、開店以降特にフォローも無かった業者とメーカー営業を店舗近くのファミレスに呼び出し、涙声で相談します。
もうすぐ1年ですが、売上が予定通り上がらず、赤字が続いています。経営的にもこのままだとヤバいです・・・
なんとか声を振り絞って、1年目の赤字だらけの実績表を見てもらいます。
これは酷い・・・
(「これは酷い・・・」じゃねーよ!!!(怒))
業者はまるで他人事の様に客観的に分析します。
(他人事なんでしょうが・・・)
こっちはおたくにお勧めされたテナントでほぼ提案された通りの構成で開店してるんですけど・・・
そして続けてこうも言いました。
今年(2017年)は空梅雨で雨が少なくどこのコインランドリーも前年比2割減なんですよ・・・
(知らんがなっ!!!)
他の店舗の話とか聞いて無いですし、天候のせいだけにして責任を逃れようとしてんじゃないよ!!
と思ったのですが、あながち嘘では無く雨が最大要因だという事にこの時に気づくのでした。
(雨でここまで売上が影響されるって教えてくれなかったじゃん・・・)
それでも売上予測に対して大きな乖離があり、雨が降っていたとしても予定通りの売上になっていたかは怪しいです。
この業者さんは現状を真摯に捉え、これからの対策も現実的に考えてくれていたのですが、
オーナー、この店舗はまだまだ伸び代はありますよ!
売上150万円も狙えます!!
と未だに夢物語を語ってくるではありませんか!!
そんな売上が見込めるんなら、○○さん(メーカー営業)が買い取って商売してくださいよ!!
それは、ちょっと、その・・・ゴニョゴニョ
なんて問答もしましたが、やはり営業は売るまでが仕事なんだなぁと実感したのです。その他にも売上UPの対策として
常駐スタッフを置いて、お客様との接点が増えれば常連客もついて平日の稼働も安定しますよ。
とか
本来は男性スタッフは主婦の方から嫌がられますが、オーナーはイケメンですから、オーナー自ら店舗に立ち接客をされてはどうでしょうか?
とあからさまなヨイショの営業トークを交えて、その場を切り抜けようとします。
確かに常駐スタッフを置けば売上が上がる可能性はありますが、人件費を考えると利益が出るとは到底思えませんでした。
そもそも既に赤字なのに、不確定な売上に対して支出を増やす余裕なんてどこにも無かったのです。
現在は1日約1000円で1時間の清掃をお願いしていますが、仮に午前中の9時〜12時だけの3時間勤務をお願いするにしても人件費が3倍となってしまいますし、
晴れの日の場合は、午前中と言えど来客がほどんど無い事もしばしばあるので、そこに経費を投入する決断は出来ません。
また自分が毎日店舗で接客するという案も日々の移動等も考えて現実的ではありませんしね。
そこら辺のこと分かって言ってんのかな?と怒りを堪えながら提案を聞くだけ聞いてたことを覚えています。
そしてこの話の結果として売上が上がるかどうかの不信感が余計強まったので、次にオーナーチェンジの話をしてみるのでした。
出口①オーナーチェンジを試みる
コインランドリー事業の赤字に嫌気が差していた私は、出来ることならオーナーチェンジで事業譲渡を考えたいと伝えました。
条件は諸々込みで1500万円(税込)。
これは借入金の残債の約半分の金額となっており、残りの1500万円は1号と2号のアパートを上手く売却出来れば帳消しに出来ると算盤を弾いて出したものでした。
この様に3000万円投資して、1年も経たずに半額で売りに出す事を決断しなければいけない程に追い込まれていたんですね。
これって不動産のケースで考えても破格の条件で設定したと思っていました。
しかしこの考えは間違っていました。
新築1Rや、か○ちゃ等の様に業者の利益ががっぽり乗っかってる場合は除きますが、適正な利回りであれば売却が出来る不動産との違いにこの時はまだ気づけていなかったのです。
そうです!
私のコインランドリー事業は新築1Rやか○ちゃと同等か、それ以上のクソ物件だったのです!!
このオーナーチェンジの話は3つのルートで譲渡先を探してもらっていました。
- メーカー、業者ルート
- 警備会社ルート
- 居抜き物件の専門業者ルート
の3パターンの話をお伝えしたいと思います。
1.メーカー、業者ルート
まずは先程のファミレスでの経営相談の最後に、
自分のコインランドリーを引き受けてくれるオーナーを探してください!
と話していたので、早速メーカーの伝手を辿ってもらい、オーナーチェンジをしてもいいと言ってくれる、コインランドリー経営者を探してもらいました。
そして一人興味を持ってくれた方がいたので紹介してもらいました。
その方は別のエリアでコインランドリーを2店舗経営しているオーナーさんでした。
本業の方では、建築関係の会社を経営されていたので、内装関係等は自分で手配出来る様でした。
早速開店1年間の数字を見てもらい、店舗も直接見てもらい、ある程度の算段がついたのでしょう。
オーナーチェンジをこちらが提示した1500万円で受けてもいいと言ってくれました。
しかし1点だけ改善が出来ればとの条件付きだったのです。
それは
家賃が高過ぎる!
という事でした。
おそらく2店舗を経営している経験から今後の売上は予測出来たのでしょうが、固定費の部分が折り合いがつかなかったのでしょう。
大家さんに事情を伝えて家賃値下げの直接交渉の場を設けたのですが、希望の家賃がかなり攻めた金額だったので、交渉は失敗に終わり、メーカールートで紹介されたオーナーさんとの事業譲渡は破談に終わったのでした。
大家さんも家賃値下げをしたくないのは自分も大家なので良く分かります。
しかしこの時ばかりは交渉成立を願っていたのですが、やはり無理でしたね。
2.警備会社ルート
次に紹介されたのは、日々のコールセンター業務をお願いしている警備会社からでした。
警備会社とは定期の契約をしていたので、途中でオーナーチェンジをした場合の違約金が発生するか等も確認する必要が有り、事情を伝えていたのです。
紹介していただいた方はコインランドリー事業はしていないのですが、別の事業を経営しており、今後の事業拡大の一手としてコインランドリー経営に関心を持っていました。
この経営者の方は、他のフランチャイズの話も聞いており新規での開業は費用がかかりすぎる為、私の様なオーナーチェンジの案件を探していたとのことでした。
また私の案件の前に契約直前まで話が進んだところで、出店予定地の地主と揉めて白紙になった事も話していました。
なので今回の私の案件にかける期待も大きかったのですが、またもや交渉は破談となってしまいます。
詳細は省きますが、大家さんとのオーナーチェンジの交渉の際にテナントの現状の条件での契約更新で揉めたのです。
このオーナーさんも乗り気だったのですが、最後の条件のところで折り合わず、この話も無くなってしまいました。
初めてのコインランドリー経営が1年目からクライマックスに突入し、
更には人生初めての事業譲渡も計画しますが上手くいかず
既に精神はズタボロになっていたのでした・・・
3.居抜き物件の専門業者ルート
事業譲渡を決めた私は譲渡先の候補は多い方が良いと思い、居抜き物件を取り扱う業者にも問い合わせをしていました。
この業者は主に居酒屋等の飲食店の機材をそのままで格安で物件を紹介する事をメインとしていた為、コインランドリーの事例は少ないものの相談に乗ってもらいました。
また経営コンサルも兼ねていた様でコインランドリー事業の内容も見てもらったのですが、なかなか辛辣な評価をしていただき、現状を再認識するに到るのでした。
それでもなんとかコインランドリーの事業譲渡として案件を投資家等に投げてもらったり、現状の借入状況などの整理を手伝ってもらったので感謝しています。
そして、初めて業界の外からの厳しい意見を受けて、コインランドリー投資のヤバさを知ります。
現状が赤字の事業なんて基本誰もお金を出して買いません。
常に出血している状況なので、早く損切りして出血を減らしましょう!
知り合いのコインランドリー業者に店舗を見てもらいましたが、視認性が悪く立地が良いとは言えないとのこと。
売上が上がるかどうかは不確定要素なので、期待するのは危ないですよ。
等とバッサリと言ってもらえて逆に清々しく思えました。
1年目からこんなボロボロになる事ってあるんだなぁと今となっては貴重な経験です。
それでもまだ何とか活路を見出したかった自分は先の2件のオーナーチェンジの話に臨むのですが、見事に玉砕しコンサルの方に再度相談しに行きます。
この時は既に「破産」の2文字も頭の中によぎっていましたが、まだやれる事はあると心のどこかで完全に諦める事はしていませんでした。
こちらの提示価格の1500万円では話が進まない事に対して
現状(2017年9月)の時点で持ってるだけで赤字なので
0円で譲渡しても会計上ではプラスになります。
決断をされてはどうでしょうか?
と、ここまで言われました。
(3000万円の投資の価値が1年で0円って・・・)
本当に泣けてきましたね。
何やってるんだろうって・・・
でも、それが現実なのだと痛感しました。
利益を生まない事業は1円の価値も無いという事です。
巷では、節税対策やら相続対策やらを売りにしているビジネスモデルを見かけますが、やはり事業単体で利益を生まないといかんのです。
そもそも節税対策とか相続対策の商品に引っかかるのは、対策出来る仕組みを理解していない場合が多い気がします。
話が外れましたが、コインランドリー投資に関しても私の事前の知識不足が招いた結果と言えます。
なのでこの状況を噛み締めて、次の行動に移るのでした。
出口②機械売却を試みる
コインランドリーの事業譲渡が難しいと悟った私は、撤退して機械売却の方向も模索してみます。
しかし返ってきた答えは散々なものでした。
機械はある程度の値は付きますが、撤去費用や運搬費を差引くとあまり残りませんよ・・・
なんと新品から1年経たずで鉄屑との評価が下されてしまったのです。
しかもコインランドリーの機械は重量がとても重い為、撤去作業や運搬するのに多額の費用が発生するとのことです。
絶望しかない・・・
撤退する場合は他にもテナント契約の早期解約の違約金やらも発生する為、ざっくり計算しても1年目の撤退は赤字でしかありませんでした。
また先ほどの居抜き物件専門の業者の方からも機械売却の方向性を示してもらい
私の知り合いの業者は機械まとめて500万円で買取出来ると言ってますよ。
と、機械の下見までしてもらい金額を提示してもらいました。
業者が違うだけでここまで査定が違うのもコインランドリー の闇やな・・・
と思ったかどうかは覚えていませんが、査定額の基準が在って無い様な業界を目の当たりにして、相見積もりの重要性を認識したのでした。
ここで熟練の事業家や企業ならスパッと見切りをつけて撤退の決断を下すことが出来るのかもしれませんが、平凡な大家業しか経験のない自分は何も決断が出来ないまま、コインランドリーの売上の行く末を見守るしかないのでした。
出口③破産を考える
事業譲渡も無理
機械を売却して撤退も無理
となった時点でとある方面からの圧もあり、本気で「破産」の2文字が頭の中に浮かんでくる様になりました。
こんな苦しい思いをして事業をやる必要は有るのか?
破産申請したら身軽になれる・・・
等と考えることもあったのですが、まだやれる事もあり、資金も時間もあったので、自分の勝手な都合で全てを放り投げる決断は出来ませんでした。
コインランドリー関係だけ債務も含めて放棄出来るなら選択していたかもしれませんが、破産する事は全ての資産を放棄し、今までお世話になったアパートの管理会社等にも迷惑をかける事になるので決断が出来なかったのです。
また、今すぐしなければいけない状況でも無かったので、やれるだけやって駄目ならギブアップすればいいや。という考えでした。
今となってもこの決断が出来なかった事が正解かどうかは分かりません。
しかしこの決断が遅くなってしまった事で大切なものも失う事になりました。
なので、事業を始める場合は事前にこの出口戦略まで考える事が大事だと私の経験上お伝えしておきます。
最初から失敗する事なんて考えねーよ!
という方もいるかもしれませんが、投資の世界でいう損切りみたいなものなので事前に撤退するラインを決めておき、機械的に判断出来る基準は必要だと考えています。
私の様に状況を目前にして、様々な感情が渦巻く中では冷静な判断も下せませんしね。
出口に辿り着けなかった結果
経営1年目である2017年の年末に起こったコインランドリー撤退の一連の流れは以上です。
その後は11月に1周年記念のキャンペーン広告をうち、洗濯機半額が効いたのか売上のベースも上がり、2年目からの売上は赤字から抜け出せないものの1年目よりも約150%U Pとなりました。
その結果、コインランドリーの赤字がギリギリ不動産収入で補填できる範囲に収まってくれたので、総事業でトントンの経営となっています。
しかし、これは結果論でしか無いので、あのまま売上が上がらず、コインランドリー事業で毎月40万円前後の赤字が発生している可能性もあったのです。
また雨による売上変動も毎月ありますので、未だにコインランドリー事業という迷宮を彷徨っています。
何度も言う様ですが、コインランドリー事業は
超上級者向けの事業です。
よく「簡単経営」「手間要らず」「副業に最適」等のキャッチーなフレーズを見かけますが、自分と同じ状況になった場合は、本業がまともに手をつけられなくなります。
なのでコインランドリー事業が全事業のほんの一部と言えるくらいの事業規模の人以外は、難しいとお伝えしておきましょう。
中には1店舗目が上手くいき、店舗展開しているオーナーさんもいるかもしれませんが、そのオーナーさんと同じ条件、資産状況等ではありませんので、絶対大丈夫という事はありません。
そして計画通りに行かない場合は不動産投資を超えるダメージが発生する事になるので、例え総投資金額が不動産よりも抑えられていても注意してくださいね。
特に私の様にフルローン、10年融資等の条件の場合はリスク管理を徹底してください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
このブログでは、ネットでもあまり見かけない詳細なコインランドリー投資の失敗談を私の経験から独断と偏見でお伝えしていきます。
私のコインランドリー経営は赤字ですが、コインランドリー経営の全てが悪いという訳ではありません。
中には、綿密に事業計画を立てて、利益をちゃんと上げている企業や経営者は沢山います。
このブログは「コインランドリー投資を私と同じ様な内容で失敗する人を減らしたい」という想いで情報発信していきますので
この情報が役に立ったと感じていただけたら、是非拡散をお願い致します。
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