【コインランドリー開業】開業前に知っておくべき「クリーニング業法」

開業準備

コインランドリーの売上が上がらず日々悶々としていた私は遂に売上UPの秘策を思いつきます。

洗濯代行サービスが流行ってるから自分の空いた時間を活用して手間賃をプラスで洗濯代行すれば売上も上がっていいんじゃね?

早速、業者に相談してみると

「洗濯代行は専門の資格と専用の施設が無いと営業出来ませんよ」

どうやら「クリーニング業法」というものが関わってくるらしく、今の自分の店舗設備では出来ないとのこと。

「クリーニング業法」とはなんぞや?

初めて耳にする言葉に独眼鉄先輩に「男とはなんぞや?」と問われた男塾一号生の如く立ちすくむしか無いのでした。

「返答せい!!」

と独眼鉄先輩ばりに答えを求める貴方の為に、私めが解説させていただきます。

この記事では店舗を企画段階に知っておかなければ、開業した後では気軽に業態変更が出来ない事になる知識をお伝えします。

私の様に思い付きで洗濯代行サービスを追加しようとして、法律の壁にぶち当たってしまわない様に事前に知識として身につけておきましょう。

誰も教えてくれないので、後の祭りとなっては手遅れですよ。

「クリーニング業法」とは?

「クリーニング業法」とは簡単に言えば街のクリーニング屋さんに適用される法律です。

お客様の衣類等を預かり洗濯する行為に法律が適用されるってご存知でしたか?

私は知りませんでした。

因みにコインランドリー店舗は「コインオペレーションクリーニング営業施設」と呼ばれ、あくまで洗濯機器をレンタルすることを生業としているので、洗濯をするのはお客様自身となり「クリーニング業法」の対象にはならないとの事です。(良く分からんですね・・・)

クリーニング業法(昭和25年5月法律第207号)
 
1 クリーニング業

 クリーニング業とは「溶剤又は洗剤を使用して、衣類その他の繊維製品又は皮革製品を原型のまま洗たくすること(繊維製品を使用させるために貸与し、その使用済み後はこれを回収して洗たくし、さらにこれを貸与することを繰り返して行うことを含む。)を営業とすること」とされている。したがって、衣類のみでなく、シーツやカーテン、絨毯、床マット、おしぼり、化学雑巾、モップ、暖簾、旗の洗たくは対象となる。また、原型のまま洗たくすることが要件となっており、着物の洗い張りのようなものは含まれない。
 また、クリーニング行為には水洗いやドライクリーニングのみでなく、受取、選別、プレス、染み抜き、乾燥、仕上げ、引渡等といった一連の行為も含まれる。したがって、このような一部の行為だけを行う場合もクリーニング所の届出が必要になる。

2 クリーニング所

 クリーニング所には、一般クリーニング所と洗たく物の処理をせず受取・引渡のみを行う取次所がある。クリーニング所以外では洗たく物の処理を行わせてはならない。
 クリーニング所は洗たく機・脱水機を置くほか、さまざまな規制がかかっている。
 一般クリーニング所には、クリーニング師を置かなくてはならない。
 クリーニング所を開設・廃止するとぎは、都道府県知事に届出をしなくてはならない。また、クリーニング所は、都道府県知事の使用前の検査確認を受けなければ使用してはならない。

3 クリーニング師

 クリーニング師の免許は、中学校を卒業した者を対象にした都道府県知事の試験に合格した者に与えられる。
 クリーニング師は、業務に従事した後1年以内に、その後は3年を超えない期間ごとに都道府県知事の指定した研修を受けなくてはならない。

4 クリーニング業務従事者

 営業者は、そのクリーニング所の業務に従事する者(クリーニング所の従業員5人に1人以上)に対し、クリーニング所の開設後1年以内に業務に関する知識の修得・技術の向上に関する都道府県知事の指定した講習会を受講させなければならない。
 また、3年を超えない期間ごとに同様に受講させなければならない。

5 閉鎖命令等

 都道府県知事(保健所設置市又は特別区にあっては、市長又は区長)は、必要に応じ、従業員等に対する業務停止、環境衛生監視員による立ち入り検査、措置命令、営業停止、閉鎖命令、クリーニング師の免許停止処分をすることができる。

厚生労働省 クリーニング業法概要 より引用

法律なので難しく書いていますが、ざっくり解釈すると

1 クリーニング業

お客様の洗剤などを使って、衣類を洗濯する事で営業(商売)する事を定義しており、

洗濯から乾燥まで一連の行為が含まれ、一部の行為だけでも対象となるので届け出が必要になります。

なので「洗濯行為」をする主がお客様ではなく、クリーニング店の人だとこのクリーニング業になるよ。って事ですね。

もしコインランドリーの店員がお客様から洗濯物を預かって、コインランドリー店舗で「洗濯行為」を行なった場合はクリーニング業法が適用されてしまうのです。

では適用されると、どうなるのか次を見てみましょう。

2 クリーニング所

洗濯専用の施設を設けなさい。

取次専用の窓口店舗もあるよ。(街のクリーニング屋さんですね)

専用施設以外では洗濯してはいけません。

検査を受けないと使わせないよ。

クリーニング師は必須!

と言う感じですね。

この「専用のクリーニング所」という規制がなかなか厳しく、お客様の衣類などを洗う場合は清潔面などのチェックが厳しく入る様です。

またこの「クリーニング所」はコインランドリー設備とは別物としないといけません。

もし代行サービスを行う場合は、専用の機械を店舗とは別のスペースに設置しないといけない為、

平日の稼働していない機械を有効活用!

なんて事が出来ない事を後から知ったのでした。

この時点で「クリーニング業法」とコインランドリー設備は相容れない関係となっていますね。

3 クリーニング師

更にはクリーニング所で洗濯行為をするには「クリーニング師」という有資格者が必要となってきます。

「洗濯なら毎日してるわよ!」

と日々の洗濯作業でスキルLVがカンストしている主婦の方々でも、この資格が無ければクリーニング業務は出来ません。

こんな資格も全く知りませんでした。

クリーニング業界も奥が深いです。

4 クリーニング業務従事者

そしてクリーニング所の従業員には講習を受けさせなさい。

しかも定期的にね☆

という事で、ここまで徹底しようとすると、人件費と研修費用が馬鹿になりませんね。

しかもそこまで費用をかけるとなると、パートやシルバー人材センターの方にお願いするわけにもいかず、正規雇用まで検討しなければいけません。

余程の資金力がある企業なら大丈夫でしょうが、一介の大家がそこまで費用を捻出することは不可能でした。

なので、洗濯代行サービスを行うにはコインランドリーとは別にもう一つの事業を立ち上げるつもりで計画しないといけないのです。

5 閉鎖命令等

厳しい検査の元、認可が下りて営業をしているので立ち入り検査や停止処分もあるとのこと。

無人経営を良しとするコインランドリー経営では、そこまで厳しい規制の元で営業していたら、気楽な営業とは無縁の世界になってしまいそうです。

※法律は専門では無いので解釈が間違っていたらご指摘ください。

預かりサービスしてるけど・・・

雨の日のコインランドリー店舗で乾燥機や洗濯機がフル稼働していて順番待ちになってる時にスタッフの方が預かってくれて、乾燥まで回してくれたり、サービス精神溢れるスタッフさんが衣類をたたんでくれたりしますよね。

これを書くと、全国のコインランドリーオーナーからクレームが来そうですが、

厳密に言うと先程の「クリーニング業法」上ではアウトです。

下記の記事の様に国会でも話題になったみたいですね。

http://www.lb-mag.com/entry/2017/09/15/154524

記事にある様に提供しているサービスが

「洗濯機器のレンタル」なのか

「洗濯行為」なのか

の線引きがあやふやになってきている事で問題が起こっている様で、

近所のコインランドリーのスタッフさんが親切心で洗濯物を預かって洗濯機、乾燥機を回す行為は非常にグレーと言わざるを得ないのです。

そうは言っても現場レベルの話なので、仲のいい店員さんが手伝ってくれた。くらいの感覚で無料サービスとして行っているのが現状だと思います。

ここら辺もあやふやなラインなのですが、この「クリーニング業法」の存在を知っているか否かで、もし突っ込まれた時の対応も違ってくるので是非確認しておきましょう。

あまりに盛大に預かりサービスを広告していると、顧客を奪われたクリーニング店から密告が入るかもしれないので気をつけてくださいね。

またスタッフさんへの教育も必要です。

「クリーニング業法」を認識した上で、預かりサービス等を行うのか、お断りするのかはオーナーの判断に依るところですね。

最終的な責任は自分に返ってくるのでしっかりと判断してください。

まだ氷山の一角である

コインランドリー経営を始める前は、経営面もそこまで手のかかからない自動装置というイメージでしたが、収益面では地獄の様な結果となり、

トラブルも発生し、なんとか売上を改善しようとしても今回の様に法律の壁に阻まれてしまいました。

「簡単経営」の様なフレーズでコインランドリー開業を勧めてきますが、知識不足では後々後悔する様な場面が他にも多々あります。

今回の様な「洗濯代行サービス」を開始しようとしても、手遅れとしか言えない状況になる事もあるので、事前にコインランドリー経営の全体像を把握しなければ、大きく損する事になるでしょう。

しかし、私の場合は業者は全ては語らず、後から判明する事で選択肢の幅を狭めてしまいました。

そもそも質問すべき事項の存在さえ知らなかったのですから仕方ないですね。

ここまでの記事を読んでくれた方は

「コインランドリー経営はしたくない」

と思っていただけてる筈ですが、まだ

わしゃぁ!コインランドリーで一山当てたいんじゃぁ!!

という方は十分に準備をして臨んでください。

くれぐれも私の様にはならない様にお願いします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

このブログでは、ネットでもあまり見かけない詳細なコインランドリー投資の失敗談を私の経験から独断と偏見でお伝えしていきます。

私のコインランドリー経営は赤字ですが、コインランドリー経営の全てが悪いという訳ではありません。

中には、綿密に事業計画を立てて、利益をちゃんと上げている企業や経営者は沢山います。

このブログは「コインランドリー投資を私と同じ様な内容で失敗する人を減らしたい」という想いで情報発信していきますので

この情報が役に立ったと感じていただけたら、是非拡散をお願い致します。

最近のコメント

2 件のコメント

  • ちゃんと調べて対応されています。素晴らしい。
    コインランドリーはじめるとみな必ず考えるんですよ、洗濯代行。
    ご指摘の通りコインランドリーの機械は、洗濯代行には絶対使えません。
    洗濯ものを預かるのも違法です。
    コインランドリーからクリーニング業進出は事実上できないということです。
    ちなみにクリーニング業の届け出してないコインランドリーチェーンが
    ホームページで洗濯代行を告知してましたので、保健所にチクってやりました。
    見事にホームページ上から洗濯代行の文字が消えました。
    ろくに調べもせずよく書くなあ、無能すぎる経営者です。
    役所も同業者もチェックしてますから、あなどってはいけません。
    私はコインランドリーしかやっていませんが、今年クリーニング師資格を取りました。
    今のところ資格を役立てることは考えていませんが、クリーニング業法の勉強ができました。

    • コメントありがとうございます。
      必ず洗濯代行は考えますよね。問題は思い付きでそのまま実行してしまう事と、クリーニング業法について誰も教えてくれない事ですね。
      自分は慎重な方なので、一度業者に相談を入れましたが行動力のある経営者タイプはそのまま実行すると思います。
      クリーニング業法なんてクリーニング屋を経営でもしてないと知る機会なんて無いですもんね。
      この記事でクリーニング業法の認知が広まると同時に安易な考えでのコインランドリー投資には色々隠れた問題がある事を世間にお知らせできれば幸いです。
      私も完璧に詳しくは無いので、まだまだ勉強しないといけませんが、最近の併設店舗でスタッフに洗濯代行サービスをさせているのもいかがなものかと心配しています。

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    ABOUT US

    シングルパパ 愛する女(娘)の為にアラフォーながら大家業、コインランドリーで日々奮闘中。 主にコインランドリー関連や不動産賃貸、マネーリテラシーを語る予定。 コインランドリーは大赤字の為、世紀末真っ只中である。